DeepSeek V4.1 Flash-1017を業務目線で読む|日本の業務時間に重なるピーク料金と、旧モデル名の自動振り替え


DeepSeekは2026年10月17日、公式ニュース「DeepSeek-V4.1-Flash-1017: Wish-Driven Programming Made Real」で、Flash系の更新版DeepSeek-V4.1-Flash-1017を公開しました。Web・アプリ・APIで同日から使え、重みもHugging FaceとModelScopeで配布されています。モデルカードは位置づけを、9月に出たDeepSeek-V4.1-Flashの「マイナーアップデート」としています。
性能の数字はベンダー公表値で、この記事では他社モデルとの優劣を断定しません。日本からAPIで使う立場で先に確かめておきたいのは、性能より運用条件の3点です。1つ目は、旧モデル名で呼び出しているコードが、何も変えなくても今回の新モデルで処理されていること。2つ目は、同時に出たSearch/Fetch APIの課金が10月31日に始まったこと。3つ目は、9月から続くピーク料金の時間帯が、日本の業務時間にほぼ重なることです。ピーク料金と旧モデル名の振り替えは今回始まった仕組みではなく、9月10日のV4.1-Flash公開時の告知にも書かれていますが、モデルの中身が替わったこの機会に前提を確かめ直す価値があります。
何が公開されたのか
公式ニュースとモデルカードで確認できる事実を先に並べます。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 公開日 | 2026年10月17日(Web・アプリ・APIで同日提供) | 公式ニュース |
| 位置づけ | DeepSeek-V4.1-Flashのマイナーアップデート | モデルカード |
| APIのモデル名 | deepseek-flash(実体がV4.1-Flash-1017) | 公式料金表 |
| コンテキスト / 最大出力 | 1M / 384K | 公式料金表 |
| 重み | Hugging FaceとModelScopeで公開、MITライセンス | モデルカード・LICENSE |
| 同時公開 | Search API・Fetch API(Web検索とページ取得の単体API) | 公式ニュース・ガイド |
公式ニュースは改良点を「前の版よりベンチマークが高く、タスクの完了が速く、出力が短い」とまとめています。モデルカードの表では、前版のV4.1-Flashと比べて、Terminal-Bench 4.0(Claude Codeのハーネスで計測)が31.2から42.3へ、DeepSWE v1.1(Mini-SWE-V2のハーネスで計測)が74.2から77.0へ上がったとされています。出力が短くなる点は、出力単価で課金されるAPIでは費用に直接効く変化です。
メモ
日本の業務時間は、ほぼピーク料金の時間帯
2026年11月6日時点の公式料金表には、ピークとオフピークの2つの列があります。注記は「オフピーク料金はピーク料金の半額」で、ピーク時間帯を「UTCの月曜から金曜の01:00〜04:00と06:00〜10:00(中国の祝日を除く)」と定め、それ以外の時間は土日と中国の祝日の終日を含めてオフピークとしています。9月10日の告知にも「ピーク/オフピーク料金を継続する」とあり、以前からある仕組みです。
これを日本時間(UTC+9)に直すと、平日の10:00〜13:00と15:00〜19:00です。UTCの01:00〜10:00は日本時間では同じ日の10:00〜19:00に当たるため、曜日のずれもありません。9時から19時を業務時間とすると、10時間のうち7時間がピーク料金になり、オフピークで使えるのは9〜10時と13〜15時、それと19時以降です。祝日で除外されるのは中国の祝日だけなので、平日に当たる日本の祝日の昼間はピーク料金のままです。
| 料金(100万トークンあたり) | Flash オフピーク | Flash ピーク | Pro オフピーク | Pro ピーク |
|---|---|---|---|---|
| 入力(キャッシュヒット) | $0.003 | $0.006 | $0.022 | $0.044 |
| 入力(キャッシュミス) | $0.15 | $0.30 | $0.66 | $1.32 |
| 出力 | $0.60 | $1.20 | $1.98 | $3.96 |
2026年11月6日時点の公式料金表(Models & Pricing)の値です。料金は改定されることがあるため、見積もりの前に必ず公式ページで最新を確認してください。
単価そのものより効いてくるのは、同じ処理でも実行する時刻で費用が2倍変わる点です。たとえばFlashで、1日に入力1億トークン(キャッシュミス)と出力2,000万トークンを処理するバッチを考えます。ピーク帯に流すと1日$54、オフピーク帯なら$27で、平日20日なら月$1,080と$540の差になります。
この料金体系で設計を見直す余地があるのは、急がない処理です。
- 夜間・早朝に回せる一括処理(文書の要約・分類・抽出、評価セットの採点など)は、日本時間の19時以降か10時前に始まるようにスケジュールする
- 社員が昼間に対話で使う用途は、時間帯を動かしにくい。ピーク料金を前提に予算を組む
- 13〜15時のオフピーク枠は2時間しかないため、長いジョブがはみ出すとピーク帯にかかる。ジョブの所要時間を測ってから枠に収める
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注意
旧モデル名は、新しいモデルに振り替わっている
公式料金表の脚注には、旧モデル名deepseek-v4-flashとdeepseek-v4-flash-vision-expは「引き続き受け付けるが、対応するモデルは退役した」とあり、リクエストはDeepSeek-V4.1-Flash-1017が処理し、Flashの料金で課金されると書かれています。
9月10日のV4.1-Flash公開時の告知でも、旧モデルは退役し、互換のため旧名は「一時的に(temporarily)」V4.1-Flashへ振り替えると書かれていました。今回はその振り替え先が、さらに1017版に替わった形です。エラーにならないので、コードの側からは気づきにくい変化です。業務で確認しておきたいのは次の点です。
- 出力の長さや書きぶりが変わる。公式ニュースが「出力が短い」と書いているとおり、要約の分量や抽出結果の粒度を後段で前提にしている処理は影響を受けうる
- 料金表で確認できるAPIのモデル名は、deepseek-flashとdeepseek-v4-proの2つだけ。日付付きの名前で版を固定する方法は、料金表には載っていない
- 評価のやり直しが要る。旧名のまま使っていても、評価結果は旧モデルのものではなくなっている
旧名を受け付けたまま中身を替える運用は、4月のV4 Preview公開時にもありました。このときはdeepseek-chatとdeepseek-reasonerがV4-Flashへ振り替えられ、7月24日15:59(UTC)以降は旧名そのものが使えなくなりました。今回の旧名も「一時的に」と告知されている以上、いずれ使えなくなる前提で、新しい名前のdeepseek-flashへ切り替えておくのが安全です。移行の手順と回帰確認の進め方は下記の記事にまとめています。
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Search/Fetch APIは「件数」ではなく「回数」で課金
V4.1-Flash-1017と同時に、Web検索とページ取得の単体APIが公開されました。公式ガイドによると、どちらもチャットモデルのツールではなく、DeepSeek APIと同じBearer認証で呼ぶJSONのAPIです。
| 項目 | Search | Fetch |
|---|---|---|
| エンドポイント | POST /v1/tools/search | POST /v1/tools/fetch |
| 主な入力 | query(1〜128文字)、count(1〜50、既定10)、need_content(既定false) | url(1件、8,192文字まで) |
| 返り値 | 結果の配列(title・url・snippet・summary・rerank_score・authorityなど) | ページのタイトルと本文(Markdown) |
| 課金 | 成功した1,000リクエストあたり$0.75 | 成功した1,000リクエストあたり$0.75 |
| レート制限 | 100 QPS | 25 QPS(ドメインごとの上限もある) |
課金はリクエスト単位で、countを10にしても50にしても価格は変わりません。課金されるのは、HTTP 200で使える結果が返ったとき(Searchは結果の配列が空でないとき、Fetchは本文が取れたとき)だけで、失敗・空の検索・タイムアウトは課金されません。
公式ニュースには、DeepSeek Harness・Claude Code・Codexからサーバー側ツールとして呼ばれるSearch/Fetchは当面無料で、2026年10月31日16:00(UTC)から課金を始めると書かれていました。日本時間では11月1日1時です。コーディングエージェントをDeepSeekのAPIにつないで使っている場合、11月以降は検索とページ取得の回数が費用に加わっています。ガイドには、どの操作がこのサーバー側ツールの呼び出しに当たるのかの詳しい説明はないため、請求明細で回数を確認するのが確実です。
メモ
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自社で動かす場合に知っておくこと
重みはMITライセンスで公開されており、著作権表示と許諾表示を残せば、商用利用や改変も認められています。ただし規模は大きく、2026年11月6日時点のHugging Face APIで取得したリポジトリのファイル合計は約510.3GBです。モデルカードからリンクされた推論手順(inferenceフォルダ)は、重みをテンソル並列8に分けて変換し、エキスパートをFP4にする例で書かれています。最低限必要なGPUの枚数は明記されておらず、量子化の方式やコンテキスト長でも変わるため、自社の環境で検証が必要です。
実装面では、モデルカードに2つの注意があります。
- Jinja形式のチャットテンプレートが同梱されていない。encodingフォルダのPython参照実装か、Rust製ライブラリdeepseek-recipe(Pythonバインディングあり)でプロンプトを組み立てる。deepseek-recipeはMessages・Chat Completions・Responsesの各API形式のリクエストを変換できる
- 推奨のサンプリング設定はtemperature 1.0、top_p 1.0、max_tokensは256K以上。出力の上限を小さく絞る既存の設定を流用すると、思考の途中で打ち切られる可能性がある
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よくある質問
V4.1-Flash-1017はいつ公開されましたか
日本時間でピーク料金になるのはいつですか
旧モデル名のdeepseek-v4-flashを使い続けても大丈夫ですか
Search APIのcountを増やすと料金は上がりますか
重みを社内サーバーで動かせますか
DeepSeek APIを業務で使い続ける前に確認すること
- コードと設定の中のdeepseek-v4-flash系のモデル名を洗い出し、中身がV4.1-Flash-1017に変わっていることを関係者と共有した
- 代表タスクで出力の長さ・品質・所要時間を測り直した
- 急がない一括処理を、日本時間の平日10〜13時と15〜19時を避けて実行するようスケジュールした
- コーディングエージェント経由のSearch/Fetchの回数を、11月以降の請求明細で確認した
- 検索クエリに含めてよい情報の範囲を、規約と社内ルールで確かめた
まとめ
V4.1-Flash-1017は、旧モデル名のままでも中身が替わる更新で、同時にエージェント経由の検索とページ取得には11月から費用がかかるようになりました。9月から続くピーク料金の時間帯は、日本の業務時間の大半に重なります。まず自社のコードで使っているモデル名と実行時刻を棚卸しし、急がない処理をオフピーク帯へ移せるかを確かめるところから始めてください。
出典・参考
- DeepSeek-V4.1-Flash-1017: Wish-Driven Programming Made Real - DeepSeek API Docs(公式ニュース・2026-10-17)
- DeepSeek-V4.1-Flash: Smarter, Faster, More Efficient - DeepSeek API Docs(公式ニュース・2026-09-10)
- Models & Pricing - DeepSeek API Docs(公式料金表)
- Search and Fetch - DeepSeek API Docs(公式ガイド)
- deepseek-ai/DeepSeek-V4.1-Flash-1017 - Hugging Face(公式モデルカード)
- LICENSE(MIT License) - Hugging Face
- deepseek-ai/deepseek-recipe - GitHub(プロンプト形式の変換ライブラリ)
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