カリフォルニア州議会がNo Robo Bosses Act(SB 947)を可決|AIだけで解雇できなくなる法案を条文から読む


2026年8月31日、カリフォルニア州議会がSB 947、通称「No Robo Bosses Act of 2026」を可決しました。雇用主が自動意思決定システム(ADS)だけを根拠に従業員を懲戒・解雇することを禁じ、主にADSの出力に依拠して決める場合には人間による裏付けを求める内容です。ただし現時点ではまだ法律ではありません。知事が2026年9月30日までに拒否すれば成立せず、しかも同じ議員が出した昨年版は実際に拒否されています。
この記事では、ニュースの見出しだけでは落ちてこない部分、つまり条文が実際に何を義務づけているのか、可決直前の修正で何が削られたのか、そしてAI機能を業務に組み込む側の設計に何が要求されるのかを、一次情報にあたって整理します。なお本記事は法的助言ではありません。個別の判断は必ず原文と専門家にあたってください。
何が可決されたのか
法案はSB 947、提出者はJerry McNerney州上院議員(民主党・プレザントン選出)です。労働法典(Labor Code)第2編に新たにPart 5.5.5(第1520条以下)を追加するもので、正式なタイトルは「Employment: automated decision systems」です。
議会公式サイトの審議経過によれば、上院は下院修正に28対10で同意し、下院は先に53対14で可決しています。カリフォルニア州議会は2026年8月31日が両院の法案通過期限です。州憲法第4編第10条(b)は、9月1日より前に議会を通過し、9月1日以降に知事の手元にある法案は、9月30日までに返還(拒否)されなければ法律になると定めています。つまり知事が積極的に署名しなくても、9月30日を過ぎれば成立します。逆に言えば、成立を止められるのは期限内の拒否権行使だけです。本稿執筆時点(2026年9月2日)では、まだ「可決された法案」であって「法律」ではありません。
注意
禁止されているのは「AIの利用」ではない
条文の中心は第1522条です。ここを誤読すると、対応の方向を丸ごと間違えます。
まず第1522条(b)(1)が、懲戒または解雇の決定にあたってADSのみに依拠すること(rely solely on an ADS)を禁じています。ADSを使うこと自体は禁じていません。禁じられているのは、人間の判断を挟まずにADSの出力だけで決めることです。
そのうえで(b)(2)が、主にADSの出力に依拠して懲戒・解雇を決める場合(primarily relies upon an ADS output)に、人間に対して当該決定を裏付ける(corroborate)よう指示することを求めています。裏付けに使える情報として条文が例示しているのは次のものです。
- 上司・管理者による評価
- 人事ファイル
- 従業員の成果物
- ピアレビュー
- 証人へのヒアリング(関連するオンラインの顧客レビューを含みうる)
さらに(c)が効きます。ADSの出力を裏付けられない場合、または人間のレビュアーがその出力を不正確・不完全・誤解を招くものと判断した場合、雇用主はその出力を懲戒・解雇の判断に使ってはならないと定めています。裏付けが取れなかったときに、なお出力を根拠にすることを塞ぐ規定です。
このほか(a)で、ADSを次の用途に使うことが禁じられます。
| 条項 | 禁止される用途 |
|---|---|
| 1522(a)(1) | 連邦・州・地方の労働、労働安全衛生、雇用、公民権に関する法令の遵守を妨げる、または違反する用途 |
| 1522(a)(2) | 従業員の被保護属性(政府法典第12940条)を推測すること |
| 1522(a)(3) | 従業員が法的権利を行使することを予測し、それに対して不利益な措置を取ること |
「AIを人事に使うな」ではなく「懲戒・解雇の判断でADSの出力に主として依拠するなら、人間が確かめたうえで使え」という設計です。この違いは、社内で対応方針を立てるときの起点になります。なおADSの定義は機械学習・統計モデリング・データ分析・AIから導かれる計算処理とされており、生成AIに限りません。スコアリングや統計モデルによる異常検知も入ります。逆に、スパムフィルタ、ファイアウォール、ウイルス対策ソフト、ID・アクセス管理ツール、電卓、データベースやデータセットは定義から明示的に除外されています。
可決直前の修正で、実はかなり絞り込まれている
ここが今回いちばん報じられていない部分です。可決された最終版は2026年8月21日の下院修正版で、それ以前の版と比べると対象範囲と開示要求が明確に縮小しています。原文の見え消しから確認できる主な削除は次のとおりです。
| 修正前の内容 | 修正後 |
|---|---|
| 対象者を「worker」と定義し、従業員に加えて独立契約者を明示的に含めていた | 主たる義務の名宛人が「employee」に置き換えられ、独立契約者を含むworkerの定義規定が削られた |
| 懲戒・解雇に加えて「deactivation」(プラットフォームのアカウント停止)を対象にしていた | 第1522条(b)・(c)、第1524条から外れ、懲戒または解雇の決定に限定された |
| 従業員の行動・信条・意図を予測する「predictive behavior analysis」の実施自体を禁止していた | 当該禁止条項が削除された |
| 自分のデータの「写し(copy)」を直近12か月分請求できるとしていた | 「意味のある客観的な記述(meaningful, objective description)」の提供に変更された |
| データ開示への回答に、使われたADSの出力、ベンダー名・製品名、実施済みの影響評価の写しを含めることを求めていた | 当該条項(旧1524条(c))がまるごと削除された |
| 人間のレビュアーによる「独立した調査(independent investigation)」と証拠の編纂を求めていた | 「裏付ける(corroborate)」に緩和された |
| 労働長官(Labor Commissioner)が執行「しなければならない(shall)」 | 執行「できる(may)」に変更された |
メモ
この絞り込みは偶然ではありません。後述する昨年の拒否権メッセージで指摘された論点を、そのまま潰しにいった修正に見えます。ギグワークのアカウント停止を外し、独立契約者を外し、予測分析の一般禁止を外し、開示要求を軽くする。企業側の負担を下げて署名の可能性を上げにいった、と読むのが自然です。
立証責任が雇用主側にある、という設計
実務でもっとも効くのは、罰則額ではなく第1526.1条(c)です。
この規定は、第1522条(b)または(c)の違反を争う民事訴訟・行政手続において、懲戒等の決定にADSが使われたことが示された時点で、以下のいずれかを雇用主が証明しなければならないとしています。
- 主にADSに依拠したわけではないこと
- 第1522条および第1524条を遵守したこと
つまり、申立て側が「AIで切られた」と主張立証しきる必要はなく、ADSが関与していたことが示されれば、そこから先の説明責任は雇用主に移ります。ここが対応設計の分岐点です。
ただしこの条項には条文上の不整合が残っています。転換の発動条件は「ADSが懲戒またはdeactivationの決定に使われたことが示された場合」と書かれており、8月21日修正で他の条項からは削られたはずのdeactivationが残る一方、terminationが入っていません。後半の文は「懲戒または解雇の決定」となっています。修正時の書き換え漏れと読むのが自然ですが、解雇についてこの転換が同じように働くかは、条文の文言だけからは断定できません。ここは要確認の論点として扱ってください。
「主に依拠した(primarily relied upon)」という基準は条文に定義がありません。定義がない以上、後から線引きを争うことになります。そのとき手元に残っているものが何かで結論が変わります。何も残っていなければ、ADSが関与していた事実だけが残り、雇用主側が不利になる構造です。
対応の実体は、AIの使用を止めることではなく、人間が何をどう確認したのかを決定と同時に記録する運用を作ることです。この点は後段で具体化します。
事後通知(第1524条)は決定を伝えるその場で渡す
主にADSに依拠して懲戒・解雇を決めた場合、雇用主は影響を受ける従業員に書面の事後通知(postuse notice)を渡す義務を負います。タイミングは「決定を従業員に伝える時点」です。後日でも、問い合わせがあったときでもありません。
形式面の要件は3つです。
- 平易な言葉で、独立した単体の文書として書かれていること(他の文書に紛れ込ませない)
- 従業員への日常的な連絡に使っている言語で書かれていること
- メール、ハイパーリンクその他の書面形式など、簡単で使いやすい方法で提供されること
記載事項は4つです。
- 1
ADSに主に依拠した旨
当該従業員に関する懲戒または解雇の決定にあたり、雇用主が主にADSに依拠したことを明示します。 - 2
人間が確認し裏付けた旨
人間のレビュアーが決定を確認し、ADSの出力を裏付けたことを記載します。 - 3
問い合わせ先
決定についてさらに情報を得るために連絡できる人間の連絡先と、自分のデータに関する記述を請求する権利があることを記載します。 - 4
報復禁止
権利行使を理由に報復することが禁じられている旨を記載します。
なお、第1526条は権利行使・申立て・調査協力などを理由とする解雇、解雇の示唆、降格、停職その他の差別的取扱い・報復を独立して禁止しています。通知に報復禁止を書かせたうえで、報復自体も禁じる二段構えです。
罰則、執行主体、適用除外
罰則は違反1件あたり500ドルの民事罰(第1526.1条(e))です。
ただし、違反をどう数えるか(処分1件ごとか、通知漏れの人数ごとか)は条文に定めがありません。ここは執行実務が積み上がるまで確定しない部分です。
執行主体は2系統です。第1526.1条(a)による労働長官(Labor Commissioner)の調査・一時的救済の命令・シテーション発行・民事訴訟の提起と、(b)による公訴官(public prosecutor)の民事執行です。8月31日の州上院議員の発表は「SB 947の規定は、カリフォルニア州労働長官、州司法長官、または地方検察官によって執行される」と述べ、続けて「本法案は私的訴権(private right of action)を定めていない」と明記しています。従業員本人が直接この法律を根拠に訴えを起こす仕組みではありません。
第1526.1条(d)が差止命令・懲罰的損害賠償・弁護士費用等の救済を定めていますが、対象は「(a)または(b)にもとづいて提起された民事訴訟」、つまり労働長官または公訴官が原告となる訴訟です。ここを本人訴訟と読むと、リスクの見立てを誤ります。
適用除外・調整規定も条文に明記されています。
- 労働協約(CBA)で本パートの適用を明確かつ一義的に放棄し、賃金・労働条件等を定め、アルゴリズム管理からの保護を規定している場合は適用されない(第1526.5条)
- 国内空域で使用する航空機の開発、および国家安全保障・軍事・宇宙・防衛目的の製品・サービス開発に関する連邦法令・連邦規則・拘束力ある連邦契約により必要とされる範囲では適用されない(第1526.6条)
- 本パートの通知要件を満たした雇用主は、他の州法の実質的に同様の通知要件に重ねて従う必要はない(第1526.3条)。ただしノルマ(第2100条のquota)や労働条件に適用される自動化された基準には及ばない
- CCPA適用事業者は、CPPAが正式に採択したADMT規則には引き続き服する(第1526.4条)
また、市・郡等がより手厚い保護を定める条例を妨げない(第1526.2条)とされ、州全体の関心事項としてチャーターシティを含む全市に適用される旨も明記されています。
昨年のSB 7はなぜ拒否されたのか
同じMcNerney議員が2025年に提出したSB 7も議会を通過しましたが、2025年10月13日にNewsom知事が拒否権を行使しました。知事府が公開している拒否権メッセージの原文には、拒否理由が3点に整理されています。
第1に、通知要件が漠然としている点です。メッセージは「雇用主による規制されないADSの利用が労働者に有害となりうるという提案者の懸念は共有する。しかしこの法案は、雇用主がこの技術を悪用する具体的な方法に対処するのではなく、ごく無害なツールを使っているだけの事業者にまで、焦点の定まらない通知義務を課している」と述べています。
第2に、制限が広すぎる点です。顧客評価をADSの主要な入力データとして使うことを禁じると、成績優秀な従業員を評価するための有用な手段を奪うことになる、顧客レビューが不当に使われる場合はその具体的な場面に対処すべきで、この慣行自体を全面禁止すべきではない、という指摘です。
第3に、既存規制との重複です。メッセージは、懲戒・解雇・アカウント停止の場面についてはCPPAの規則で部分的にカバーされる見込みであり、「この分野で新たな立法を行う前に、これらの規則がこうした懸念に対処するうえで有効かどうかを評価すべきである」と結んでいます。
この3点を、SB 947の8月21日修正と並べると対応関係がはっきりします。事前通知を落として事後通知だけにし、顧客レビューを裏付け情報の例示に格上げし、CPPA規則への服従を第1526.4条で明記する。1点目と2点目には手当てが入りました。残るのは3点目、つまり「そもそも新法が要るのか」という論点です。ここが署名の可否を分ける可能性があります。
ヒント
あわせて読みたい
EU AI Actの透明性義務が2026年8月2日に適用開始|日本企業の実務で何が変わるのか
日本の事業者に関係するのか
カリフォルニア州の労働法である以上、直接の適用対象はカリフォルニアで人を雇っている雇用主です。日本国内だけで完結している会社に、そのまま適用される法律ではありません。ただし次の3つの経路で関係しうるので、無関係と即断する前に確認する価値があります。
- 現地法人・支店でカリフォルニア州の従業員を雇用している。この場合は直接の適用対象です。労働協約による除外や連邦契約の除外に当たるかも含めて、現地の法務で確認が必要です。
- 人事系のSaaSやAI機能を提供しており、顧客にカリフォルニアの雇用主が含まれる。自社が規制対象になるわけではありませんが、顧客が第1524条の通知や第1522条の裏付けを実行できるだけの情報(どのデータで何を出力したか)を、製品として返せる必要が出てきます。契約上のデータ提供義務や監査対応の条項として要求される可能性があります。
- グローバル共通の人事評価基盤やアルゴリズム管理の仕組みを日本で開発し、海外拠点に展開している。設計が一箇所なら、いちばん厳しい法域に合わせるほうが結局は安く済みます。
注意
AI機能を作る側の設計に何が要求されるか
LLMやスコアリングを人事・労務まわりの機能に組み込んでいるチームにとって、この法案は「法務が対応する話」で終わりません。以下は条文が直接指定している実装方法ではなく、条文上の義務(説明の提供、裏付け、所定のタイミングでの通知、匿名化)を実際に満たし、後から立証できるようにするための実装課題として整理したものです。
第1に、出力ごとの入力データの記録です。第1522条(d)は、主にADSに依拠して懲戒・解雇が行われた場合に、従業員が自分のデータについて「意味のある客観的な記述」を請求できるとしています。写しの提供までは求められなくなりましたが、どの従業員データが使われたかを後から説明できない設計だと、この請求に答えられません。プロンプトに何を差し込んだか、どのレコードを参照したかが残っている必要があります。
第2に、人間の裏付け行為をイベントとして記録することです。条文が記録の形式まで定めているわけではありませんが、前述の立証責任の配分を踏まえると、ここが実質的な分岐点になります。「人間が画面を見た」ではなく、「誰が、いつ、どの裏付け情報にもとづいて、出力を採用または却下したか」が残る形にします。第1522条(c)は、裏付けが取れない場合や出力が不正確と判断された場合に出力を使うことを禁じているので、却下されたケースの記録が特に重要になります。承認ボタンを1つ置くだけの実装は、立証の場面で機能しません。人間の関与をワークフローとして設計する考え方は あわせて読みたい AIエージェントの人間承認(Human-in-the-Loop)設計|どこに確認を置くかを影響範囲と取り消し可能性で決める
第3に、通知文の生成です。第1524条は形式まで指定しています。独立した単体の文書、日常的な連絡と同じ言語、簡単な提供方法。決定を伝えるのと同じタイミングで必要になるので、後追いの手作業では間に合いません。決定を確定させる処理から通知テンプレートを生成する導線を作っておくのが現実的です。
第4に、匿名化です。第1522条(e)は、従業員データの記述を提供する際、顧客・他の従業員・第三者の個人情報を匿名化した形で提供することを求めています。裏付け情報にピアレビューや証人ヒアリングが含まれる以上、そのまま渡せば別の問題が起きます。開示用の出力経路には、匿名化処理を挟む前提で設計する必要があります。
メモ
あわせて読みたい
生成AIの業務利用を始める前に決めること|社内ルールの作り方と最初の一歩
カリフォルニアではすでに2層動いている
SB 947だけを見ていると全体像を見誤ります。カリフォルニアには雇用領域のAIに関する規制がすでに2つ動いており、SB 947はその上に重なる3層目です。
| 規制 | 主体 | 時期 | 中心的な内容 |
|---|---|---|---|
| FEHA関連の自動意思決定システム規則 | California Civil Rights Council(公民権局内に置かれた評議会) | 2025年10月1日施行 | 被保護属性に対する差別的なADSの利用禁止、自動意思決定データを含む記録の4年間保存、ADSを運用する第三者の代理人としての責任 |
| CCPAのADMT規則 | California Privacy Protection Agency | 2025年9月22日にOAL承認、2026年1月1日発効、ADMT関連義務は2027年1月1日までに遵守 | 重要な決定にADMTを使う場合の事前通知、オプトアウト、追加情報を得る権利、リスク評価の文書化 |
| SB 947 | 州議会(署名待ち) | 2027年7月1日施行予定 | 懲戒・解雇におけるADS単独依拠の禁止、人間による裏付け、事後通知、立証責任の転換 |
第1526.4条がCPPA規則への服従を明示しているとおり、SB 947が成立してもCCPA側の義務は消えません。逆に第1526.3条により、SB 947の通知要件を満たせば他の州法の実質的に同様の通知義務は重ねて要求されない、という調整が入ります。実務では「SB 947が成立するかどうか」より、既に確定している2027年1月1日のADMT規則の期限に間に合わせる作業が先です。
カリフォルニアに雇用の接点がある場合の確認項目
- 人事・労務まわりでスコアリング、分類、推奨を出す仕組みの一覧があり、最終更新日が入っている
- その中で、懲戒または解雇の判断材料として出力が使われているものを特定した
- 各仕組みについて、どの従業員データが入力されているかを後から説明できる記録が残っている
- 人間が出力を採用または却下した事実と、その根拠が決定と紐づけて記録されている
- 却下されたケース(出力を使わないと判断したケース)も記録に残る設計になっている
- 決定を伝えるタイミングで事後通知を出せる導線がある(後追いの手作業になっていない)
- 開示用の出力に第三者の個人情報の匿名化処理が入っている
- CPPAのADMT規則の2027年1月1日期限を社内カレンダーに登録した
- 労働協約による適用除外に当たるかを現地の法務に確認した
この先の見どころ
まず2026年9月30日で1つ目の分岐が来ます。知事が期限内に拒否すれば成立せず、署名するか、何もせず期限を過ぎれば成立して2027年7月1日施行です。拒否された場合は、同じ議員が3年連続で出し直す可能性が高いという構図になります。
成立した場合に次に問題になるのは「primarily relied upon」の解釈です。条文に定義がなく、労働長官の執行も「shall」から「may」に緩和され、私的訴権もありません。誰がどの程度の頻度で執行に動くかによって、実務上の輪郭がどう決まるかは変わります。ここは推測で語れる段階ではありません。
現場感としてはこれが近いはずです。署名の可否は外部要因ですが、決定の過程を記録として残せているかは自社で決められます。しかも同じ記録は、EU AI Actの人間による監督の説明にも、社内のハルシネーション対策の検証記録にも流用できます。法案の行方を待ってから着手するより、記録の設計から先に手を付けるほうが、どちらに転んでも損がありません。
SB 947はもう法律になったのですか
AIを人事評価に使うこと自体が禁止されるのですか
違反した場合の罰則はどの程度ですか
ギグワーカーやフリーランスも対象ですか
日本国内だけで事業をしている会社は無関係ですか
いつまでに何をすればよいですか
本記事は2026年9月2日時点で公開されている一次情報(SB 947の2026年8月21日下院修正版の条文、州議会の審議経過、州上院議員の公式発表、2025年10月13日付のSB 7拒否権メッセージ)にもとづく整理です。法案は成立前であり、成立の可否および施行後の解釈は変わりうるため、実際の対応は最新の公式情報と法務・専門家の確認のうえで進めてください。
出典・参考
- Legislature Approves No Robo Bosses Act of 2026 to Ensure Human Oversight of AI in the Workplace(McNerney州上院議員 公式発表)
- SB 947 法案本文(2026年8月21日 下院修正版・California Legislative Information)
- SB 947 審議経過(California Legislative Information)
- McNerney Introduces No Robo Bosses Act of 2026(2026年2月2日・法案提出時の公式発表)
- California Constitution, Article IV, Section 10(法案成立の手続)
- SB 7 拒否権メッセージ(2025年10月13日・カリフォルニア州知事府)
- Governor Newsom issues legislative update 10.13.25(カリフォルニア州知事府)
- CCPA Updates, Cybersecurity Audits, Risk Assessments, Automated Decisionmaking Technology (ADMT), and Insurance Regulations(California Privacy Protection Agency)
- Civil Rights Council(California Civil Rights Department)
- California SB 947 ("No Robo Bosses Act"): New Proposed Guardrails on Use of Automated Decision Systems(Crowell & Moring LLP)
関連する記事
EU AI Actの透明性義務が2026年8月2日に適用開始|日本企業の実務で何が変わるのか
EU AI Act第50条の透明性義務が2026年8月2日から適用されます。対話AIの告知・生成コンテンツの機械可読マーキング・感情認識の告知・ディープフェイクの表示という4領域を、法解説ではなく実務の着手順として整理します。域外適用の判断軸、提供者と利用者の切り分け、2026年12月2日までの猶予、行動規範の位置づけまでを一次情報で確認しました。
生成AIの業務利用を始める前に決めること|社内ルールの作り方と最初の一歩
生成AIを業務で使い始める前に決めておきたい社内ルールを整理しました。対象範囲・入力してよい情報・確認フロー・責任の所在という4つの論点と、小さく始めて育てる運用の考え方をまとめます。
AIエージェントの人間承認(Human-in-the-Loop)設計|どこに確認を置くかを影響範囲と取り消し可能性で決める
AIエージェントに人の承認をどこで挟むかを、操作の可逆性・影響範囲・検知の遅れ・頻度の4軸から設計する実務ガイド。事前承認からドライラン・取り消し・サンプリング監査・エスカレーションまでの類型、承認疲れという失敗モード、監査ログの設計、自動化率の上げ方を整理します。


